夏の日が近付いてきている。
冷たいものを飲んで,製氷器では沢山の氷を作っている。
それでもまだ夏ではない。暑さで奔放が陽炎のように揺れる夏ではないのだまだ。
毎日毎夜の夢はとても鮮やかで。不憫さや愁然さなどは欠片も無い。
空を飛んだり超能力を使ったりしない代わりに現実と寸分違わぬレアリテが用意されている。
夢の中では空もビルもネオンも見上げないし,誰かと居る事だって厭わない。いや,いつも誰かの横に居て,絶えず笑ったり怒ったり喜んだりしている。そして,泣く。
こんなに大きく口を開けて笑っていてははしたない,とか,わんわん声を張り上げて泣いていては子供みたいだ,とかを考えるとそれはみるみるうちに遠のいていってしまう。
そして口の端にある笑みの残りや,さっきまで感じていた頬の冷たさに戸惑いを感じる。覚めてしまってはその感覚だけが現実を知らせるものなのだ。
夏も空も青々とした葉っぱさえも嫌いだった。
冬と夜と無機質と人工物が好きだった。もっと云えば数字や化学式や赤と黄と黒のコードやテクスチャや表情の無いトランプの絵柄に惹かれた。
反し,人らしさを求め,今夏はどこへ行こう。 続きを読む
冷たいものを飲んで,製氷器では沢山の氷を作っている。
それでもまだ夏ではない。暑さで奔放が陽炎のように揺れる夏ではないのだまだ。
毎日毎夜の夢はとても鮮やかで。不憫さや愁然さなどは欠片も無い。
空を飛んだり超能力を使ったりしない代わりに現実と寸分違わぬレアリテが用意されている。
夢の中では空もビルもネオンも見上げないし,誰かと居る事だって厭わない。いや,いつも誰かの横に居て,絶えず笑ったり怒ったり喜んだりしている。そして,泣く。
こんなに大きく口を開けて笑っていてははしたない,とか,わんわん声を張り上げて泣いていては子供みたいだ,とかを考えるとそれはみるみるうちに遠のいていってしまう。
そして口の端にある笑みの残りや,さっきまで感じていた頬の冷たさに戸惑いを感じる。覚めてしまってはその感覚だけが現実を知らせるものなのだ。
夏も空も青々とした葉っぱさえも嫌いだった。
冬と夜と無機質と人工物が好きだった。もっと云えば数字や化学式や赤と黄と黒のコードやテクスチャや表情の無いトランプの絵柄に惹かれた。
反し,人らしさを求め,今夏はどこへ行こう。 続きを読む